藤川まゆさんインタビュー~前編~

3月某日。場所は都内某ホテルのカフェにて。もとより女性とお話するのは緊張してしまうというのに、今日は自分が一方的に知っている方……しかもお綺麗なのもわかっていたわけで、私の緊張は限界点を超えていた。 藤川さんが姿を現した時 (あ、本物だ……) インタビューで聞こうと思っていた内容は半分ほど抜け落ち、のちに必死に脳を回転させてなんとか記憶を回収するに至ったということには触れておかねばなるまい……。 舞い上がりつつも、わりと深いところまで突っ込んでお話を聞かせていただけたので、3回にわたってお送りするこのインタビュー記事を、是非読んでいただきたいです。

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――よろしくお願いします。ファンになりました。 ありがとうございます(笑)。よろしくお願いします。

藤川まゆさんインタビュー

筆者が一目惚れした藤川さん

――では早速質問に入らせていただきます。まず生まれがこちらのほうではないと伺っているのですが、どちらの出身なのでしょうか? 出身は青森です。

――青森の方から、今は東京に住んでらっしゃる? そうですね。高校を卒業してすぐ上京しました。

――上京してきたきっかけって何かありますか? 高校生の時から芸能系の道は目指していて、その為にオーディションに応募したりしていたんです。 一次審査は青森からでも応募できるんですけど、二次審査、三次審査ってなると東京で面接や実技だったりするんですよね。

その度に土日はちょくちょく東京に出てきていたのですが、移動も大変ですし交通費もかかりますし……だったら住んじゃったほうが、と思って卒業してすぐ上京した、という感じです。 もちろん元々東京に憧れていたというのもありますけど(笑)。

――ではまず初めは、何になりたかったんですか? 小さい頃は歌って踊れる歌手みたいな感じのものになりたかったような気がします。 で、その後は小学生の時になんですけど、国語の時間って音読したりするじゃないですか。 それで先生にすごく褒めらたり、友達に「まゆちゃん声優になりなよ!」とか言われたりして、ついその気になってしまって、『じゃあ私声優になろう!』って(笑)。

――そういうちょっとしたことがきっかけになったりしますよね。 そうですね、私は特に影響されやすいタイプだと思います(笑)。 でも、はじめは漠然と目指した声優もいろいろ勉強していくうちに、声だけで表現できるというか、声だけで色々な感情を伝えるっていうのはすごいお仕事だなって。 それと歌って踊ることに憧れがあったり、写真集を出してみたかったりというのがあったので、いわゆるアイドル声優というものを目指したいと思っていました。

――早い段階で色々なものを見据えていたんですね。 私、やりたいことがたくさんあったんですよ。 文章を書きたかったり、お菓子も作りたかったり、ゲームに関わりたかったり、みたいな。 それらを全部できるお仕事があるとしたら、タレントだと思ったんですよね。

もし頑張って名前が売れたら、他の部分に展開していける可能性があるじゃないですか。 エッセイを書けたり、ゲームのイベントに出られたり、イベントで手作りのお菓子を出したり……とか、そういうことを全部したいという野望があったんです。甘い考えと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、真剣にそう思ってたんですよね。 親にも相談して、とりあえずは高校を卒業してからでもいいんじゃないかということになったので、単発でもできたり、がっつりじゃなくてできることはないかなって探したんです。田舎に住んでてもできるような。 ある時、父が「こういうのあるけどどう?」と、県でやるお芝居のワークショップというか、オーディションを勧めてくれたんです。 県立美術館のプレイベントとして、地元の有名な劇団が中心となって、県民も参加する演劇をするということで、その参加者のオーディションでした。 ちょっと変わった演劇で、題材は太宰が青森の各地を旅する『津軽』という話なんですけど、実際に劇中で太宰が移動するシーンでは観客の皆さんと一緒に移動して一緒に各地を旅している気分になろうというコンセプトで。 地元だし、いい経験になると思って参加したんです。演劇なんてしたことなかったのでズブの素人だったんですけど、監督さんにキャラクターを気に入っていただけて、劇団の方がやるくらいの重要な役をいただいたんです。台詞がとても多くて本当にずっと出ている役で、『私でいいのかな……』って何度も思いました(笑)。 声を張るのも苦手だし、セリフを覚えることはできても自分の思ったように表現するのは難しいし、自分が素人であることを痛感しましたね。演劇って、本当に難しいなって。 でも、それでも舞台に上がることは楽しかったし、お客様に感想をいただけてお客様の顔が見えるというか、それが嬉しくて、本気でこの世界を目指したいと思いました。 自分の演技の酷さには目も当てられなかったので、役者になろうとは、というか、なれるとは思いませんでしたが……(笑)。 それからは本気で所属できる芸能事務所と青森でもできるお仕事を探して、オーディションをたくさん受けて、無事所属が決まりました。 それからは写真撮影のお仕事とかで東京に来るようになって、高校を卒業するまではそれを続けていました。 本格的に活動するために卒業したら上京しようということは決めていましたし、それで実際卒業してすぐに上京したんです。

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中編へ続く