藤川まゆさんインタビュー~中編~

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――そして本格的な芸能活動が始まる、と。 実は上京してからすぐに、当時所属していた事務所がなくなってしまったんですよ(笑)。 それでとりあえずしていたバイトを増やしたのですが、そうしたらだんだん働くことが楽しくなってきてしまって(笑)。 なのでしばらくは次の事務所を探したりせずに、仕事一本の生活をしていました。

――その時期はどれくらい続いたんですか? 仕事にもだいぶ慣れて落ち着いてきた時期に、暇な時間にゲームセンターに通うようになったんですよ。 元々高校生の頃から尋常じゃないくらいゲームセンターにいたので、自分の中でゲームセンター熱がまた高まった、というところでしょうか。 そこでしょっちゅうゲームをしていると、だんだん「ゲーセン仲間」みたいなのが増えてきて。 その時やっていたゲームは格闘ゲームだったんですけど、待ち時間に仲間がみんな『麻雀格闘倶楽部(マージャンファイトクラブ)』というゲームをしていたんですよね。それを見て、「そんなに面白いの?」と(笑)。 麻雀の役もまったくわからない状態だったんですけど、元々KONAMIのゲームが好きだったのもあって、ゲーム自体のサウンドやエフェクトに惹かれてプレイするようになりました。みんなに少しずつ役を教えてもらって、役がある程度わかるようになってからはもう本当に一日中プレイしてましたね(笑)。 ちょうどそのあたりでバイトの契約も終了していて、麻雀にハマり、実際に牌を使ってゲームしたくなり、すぐに思い立って近くの雀荘に「アルバイトしたいのですが……」と電話をして雀荘でも働きはじめて(笑)。ゲームと、雀荘のアルバイトと、ゲーセン仲間とのセット麻雀と、一日中麻雀漬けの日々を送ってました(笑)。

――最初はどちらかと言えば麻雀がメインだったんですね(笑)。

やっぱりタレントになる夢も諦めきれなかったので、もう一度本気で芸能界を目指そうと思ったんです。 そうなった時に何か売りというか“看板”があった方がいいと思って、“麻雀プロ”なるものがあるということを知り興味があったことと、元々資格を取るのやテストが好きだったこともあって、『麻雀プロを目指そう!』と。 受験しようとしたプロテストは、私が麻雀を覚えてから半年だったので結構無茶だったのですが、受験するからには絶対に合格したかったので、毎日麻雀を打って、麻雀の本もたくさん買って勉強して、麻雀の夢を毎日見るくらい麻雀一色の半年を送りました(笑)。

――本来の目的を忘れてしまっていそうですね(笑)。 きっかけは芸能界への足がかり的な意味もあったのですが、麻雀漬けの生活を送っていて、すっかり麻雀に夢中なってしまって(笑)。 特にプロ1年目は、プロとしての緊張や不安などもあって、他のことを考える余裕はまったくなかったです。 2年目を過ぎてからが多少気持ちに余裕もできてきたのでタレント活動を再開しようと思って、またいろんなオーディションを受け始めましたね。 そこでインターネットの生放送に強い事務所に所属することになり、生放送などに出させて頂けるようになったんですけど、そこも所属して間もなくいろいろあって……。 その時期にちょうどつんく♂さんプロデュースのAKIHABARAバックステージpass(以下バクステ)のオーディションを知って受けて合格でき、それからは麻雀とアイドルを並行してやっていくようになりました。

――それぞれ全く違う世界でのご活動になったのではないかと思うのですが、そこに関しての違和感だったり難しさだったりはなかったのですか? うーん……基本的なベースは一緒なんだと思います。麻雀プロとしては雀力を上げるというのが必要なことですし、アイドルとしては歌唱力だったりダンスだったりを上達させていくというのが必要で、それらは私にとって「やれることをやる」という点で変わりませんから、難しいとかは感じなかったですね。あと、どちらもファンの方のために、という共通点もありますし。そういう意味では、サービス精神とプロ意識、かな。 難しさをあげるとするなら、麻雀プロとしての私とアイドルとしての私のどちらを求めているのかって人によって違うので、そこを上手く感じ取りながらやっていくというのがそうかもしれないですね。特に私の場合はそれぞれの仕事を別物としてではなく、影響し合うものとして活動していたので、わりと入り乱れてしまうというような。

――わりと詰めたスケジュールをこなしていたとのことですが、気持ちの切り替えは必要ありませんでしたか? 私、元々遊びたい願望や何かが欲しいという願望が皆無なんですよね(笑)。なので特に休みが欲しいとも思いませんし、むしろ毎日予定があることでモチベーションを上げられるというか、より仕事に没頭できるので。 強いて言うなら例えば麻雀の仕事がとても忙しかった時に、ダンスに時間が取れず練習があまりできなかったりすると、不安のようなものは出てきましたけど。 後は表に出る仕事なので、自分に対する良くない評価を感じると落ち込んだりするんですね。でもそれでも仕事をしているとファンの方が温かい言葉をかけたりしてくださるので、「よし、みんなのために頑張ろう!」とやる気も出るし、そういう意味でやっぱり仕事はできるだけしていたいと思いますね。

――色々なお仕事をしていく中で、何か内面の変化などを感じることはありましたか? 出たほうがいいところと出ないほうがいいところをわかるようになっていったことですかね。 テレビとかライブというものはオーディションからそうなんですけど、自己主張が必要な場ですよね。でも逆にあまり自己主張しちゃいけない場所っていうのもあって、当時それがまだ全然わからなかった時は、全くしなくてだめだったり、逆に全部やって失敗しちゃったりということがよくありました。それを少しずつ押し引きというか、場とタイミングが読めるようになってきたのは大きな変化だったと思います。 ただそれも今となって気付けたことなので、実際当時できていたかどうかはわかりませんけど(笑)。

――10代の頃から芸能活動をされていて、もうだいぶ長い期間が経つのではないかと思いますが、その中で何か得たものはありますか? 得たものは正直多すぎて……。まずは自分のことを知ることができた。自分がどんなキャラでどんな風に見られているのかというのがわかったのは大きいですね。

――それは芸能活動をするまではなかったのですか? 自分が何かを演じたり何かに出演して、それを見られたり評価される機会って中々日常ではないと思うんですよ。学校でいうと成績だったり体育ならタイムとかだったりじゃないですか。

そういうような言わば誰に対しても与えられる評価ではなく、自分が特別なものとして見られることって。見られることそれ自体が仕事のようなものなので、人から見た自分というものを知ることができたのはよかったですね。 それがわかったからこそ今は『タレントを一生やるのではなく、別の道でやっていこう』と思うようになったわけなので。ある程度客観的に自分を見られるようになりました。 後は人との絆……でしょうか。私は元々子供の頃から友達は少なかったですし、殆ど特定の人とばかり遊んでいて、あまり仲良くない人は別にいいかなと思っていたんですけど、麻雀の世界もタレントの世界も人との繋がりがとても大切というか、意外なところでその関係のおかげで仕事をいただけたりしてるということもありますし、そう考えると人との繋がりとか付き合いというものは疎かにしてはいけないなと。 きっとそれに気付けるまでは損をしていたと思いますし、そうい意味では人に対して誠実ではなかったのかなと反省したりしますね。

――やはり今後に生かせることにもなるというわけですね。 そうですね。『この人にはあまり興味がないからいいや』とならずに、人間関係は大事にしていくことが、自分にとっていい方向に行くためには大事なのではないかなと。

――なるほど。では話はガラッと変わりますが、何か趣味がありましたら教えていただけませんか? ゲーム!レトロゲーム好きです。 あと最近は非電源ゲームというか、アナログゲームと呼ばれるものにもハマっています。  ボードゲームだったり、人狼だったり。むしろテレビゲームとかだと、今仕事でパソコンやスマホを使う機会が多いので、どうしても目が疲れてしまいますし……。非電源ゲームは目にも優しいので(笑) どうしてもテレビゲームしちゃうんですけどね……(笑)。ファミコンやスーファミを友人と一緒にプレイしたりもします。おすすめは『MOTHER2』と『アクトレイザー』かな!

――MOTHER2、いいですね!アクトレイザーって難しくないですか? うーん、アクトレイザーは魔界村とかやった後ならまだやさしいと思います(笑)。後は慣れですね!慣れると結構さっくりクリアできるんですけど、慣れるまでがちょっと大変かもしれないです。やったことがない方には是非おすすめしたいですね。

――他に何か得意なゲームとかはありますか? ……ポーカーでしょうか。以前テキサスホールデムポーカーの大会で優勝して、マカオ3泊4日の商品を貰ったことがあります。

――それはすごい!色々なゲームに精通しているというイメージが、より強くなりました。 基本的に勝負事が得意なんですよ。麻雀にしてもそうですが、ゲームって勝負の世界みたいなものなので、やっぱり向いていたのかなと思いますね。 そういえば最近はよくゲーセンにも行きます。打ち合わせとかで外出する時、ちょっと空いた時間にふと寄ってしまったり。

――ゲームセンターではどんなゲームをするんですか?

結構なんでもやりますよ!今だったら音ゲーやクイズゲーだったり、たまにはUFOキャッチャーもやりますし、人と一緒に行った時はパーティーゲームもやったりしますね。最近はダンエボ(DANCE EVOLUTION)をよくやっています。

――ゲーマーとしても名高い藤川さんの、得意なジャンルってなんでしょうか? うーん、ミニゲームがたくさん詰まったパーティーゲームとかですかね……。反射神経とかアクションとか決して何かが突出しているわけではないんですけど、割りと総合力が高い方だと思うので 逆にRPGなんかは几帳面なところがあるせいで、宝箱の取り逃しが嫌でインターネットで攻略サイトを見てしまったりするので得意とは言えないです(笑)。 でもよく考えると一番得意なのは音ゲーかな。一番やりこんでいたのは『太鼓の達人』ですかね。それなりに得意でした!(笑)

――そういえば以前、テレビで格ゲーの腕を披露されたことがお有りなんですよね。 はい。あの時は鉄拳ですね。

e-SPORTS JAPAN CUP

ゲームイベントにゲスト出演した藤川さん

元々上京したてでゲーセンに通っていた頃やっていたのが格ゲーで、少なからず経験はありましたし、収録が決まってから必死に練習したので、流石に普通の子には負けません(笑)。まあそれでも下手の横好き程度ですけどね(笑)。格ゲーはあまり得意ではないと思います。むしろ一番苦手なジャンルかもしれません。 基本的に考えたり覚えたりするゲームは苦手なんです。シミュレーションゲームはその最たる例で。格ゲーはあまりそう思われないんですけど、結構考えるゲームなんですよ。そういうのよりは反射神経とかセンスとかでどうにかなるゲームのほうが得意です(笑)。 格ゲーはコンボとか何十種類もあって、それを全て覚えるのは大変ですし、努力が必要になってきますから。コンボだけでなく『この状況でこういう技を出したら、相手がこうしてくるから……』とかまで知らなくちゃいけないのですし、反射神経だけでどうにかなるものではないんですよね。 ゲームは、リフレッシュ感覚でやることが多いので、あまり勉強というか努力ができなくて……。 勿論好きになったら勝手に調べるし、覚えようとするんですよ。でも格ゲーの場合はその前に「難しい……」ってなっちゃうんですよね。クイズゲームとかだったらわからなかった問題をすぐ調べたりするんですけどね(笑)。

――ゲーム以外の趣味などは。スポーツなどはされるんですか? スポーツ好きですよ!最近はヨガにハマっていました。後はダンスもですね。こう見えて体を動かすのも好きです(笑)。長い距離を歩くのも苦にならないですし、むしろ好きです。調子がいい時なんかはちょっと遠くまでランニングしに行ったりもします。 他には空手とかですね。小学2年生から中学まで空手の道場に通っていて、高校では空手部に所属していました。 バクステでステージで踊ったりして、ダンスがとても好きだなって思ったんですが、実はド素人だったんです。小さい頃にバレエを習っていたっきりで、ダンスは何もわからない状態で踊り始めて、でもそれをバクステではファンの方ににすごく褒めていただいて。そういう意味ではもしかしたら空手の型がダンスに通ずるところがあるのかもしれないです。

――僕もバキ読んでるので空手は詳しいですよ。 (笑)。

――すみません。他に何かありますか? そういえば私の趣味と言うと食です!食に関すること!美味しいものを食べに行ったり料理をしたり、レシピを調べたり。起きてる時間は大体食べ物のことを考えているかもしれません(笑)。

――確かにお料理とか好きそうですもんね! そうですね、作るのが好きというか得意です。特にお菓子作り!高校の時には先生に頼まれてクリスマスにケーキを焼いて持って行ったこともありました。その頃はそういうお菓子作りを仕事にしたいと真剣に考えたりもしましたね。 実際麻雀プロとしてゲストでお店に行った時には家でお菓子を作っていってお客さん配ったりすることもできましたし、とても嬉しかったというか達成感がありました。 こっとんでも自分のレシピをお店のメニューに活かせることができ、自分の作ったものを「美味しい」と言ってもらえるのはとても嬉しいことだと強く思いました。 これからも食には関わっていきたいですね。 ***********************後編へ続く